マイケル・ジャクソンにはかつてないほどに価値があり、役所はその分け前にありつきたい(その3)

2010年ブランカは、あらたな素材を使った10枚のアルバムを製作するという2億5000万ドルの契約をソニーとの間でまとめ、エステートの収入はさらに増加した。さらに彼はスパイク・リーに「Off The Wall」や「Bad」に合わせてリリースするドキュメンタリーの監督を依頼した。二人はその方向性において合意した。すなわち、「彼の音楽、ミュージシャン・シップ、偉大なアーティストという側面のみにフォーカスしたい」とリーは言う。「そのほかのこと?そんなものには関心なかったね」。

このように収穫を得ていく中で、ブランカはセリーヌ・ディオンのマネージャーからの電話を受ける。シルク・ドゥ・ソレイユのトップたちと話をしてみないか、ということであった。カナダの演劇集団シルク・ドゥ・ソレイユは、これまでビートルズの音楽を取り上げた「The Beatles LOVE」というラスベガスのショーを成功させている。ブランカはモントリオールへ飛び、シルク・ドゥ・ソレイユの創設者、ガイ・ラリベルテと会った。ラリベルテはタバコを楽しむことを許されないスペース・カプセルの旅から帰ってきたところであった。だから彼はその埋め合わせをすべく、絶えずタバコを吸っていた。「私はガイに言ったんです。『ビートルズの"Love"よりもよいものをラスベガスでやりたいんだ』」とブランカは振り返る。「彼は、『私は世界をツアーするショーがやりたいんだよ』と答えました。だから、『OK、両方やろう』ということになったのです」。

「Michael Jackson: The Immortal World Tour」と名づけられたシルクのツアー・ショーはジャクソンのバンドメンバーらを多数起用し、公演は3年間続いた。そしてビルボードによれば、興行収入3億6000万ドルを達成し、これは史上8位のツアー・ショーの記録となった。2年後、ジャクソンのホログラムが登場するラスベガス・ショーの「Michael Jackson: One」は、マンダレイ・リゾート&カジノで初演となった。シルクのCEO、ダニエル・ラマールは、「このショーは永遠に続くと思いますよ。マイケルの音楽の人気は永遠ですから」と述べている。続いてブランカはビデオ・ゲーム、故ジャクリーン・ケネディ・オナシス編集の1988年刊行の自伝「Moonwalk」の再販、そしてペプシの飲料缶にジャクソンの写真を使用するという契約の交渉を行った。2012年までにエステートはソニー/ATV関連を除く負債を完済した。生前よりも人気が出ているということをジャクソンは証明していった。

翌年、60 Minutesという番組の中の褒め称えるコーナーで、ブランカとマクレーンによる故人クライアントのマネジメントについて、「ポップ・ミュージック史上最も卓越した、財務状況とイメージの再生」と評価した。記者のララ・ローガンはブランカにこう尋ねた。「彼のイメージは、亡くなる頃にはとても傷つき、色あせていました。彼のファンたちはそのことを忘れてしまったのでしょうか?」

「私たちはタブロイドのことなど気にしていません。私たちはマイケルを見ているのです。私たちが知っている本当のマイケル。天才的芸術家、先駆者のマイケルです」とブランカは答えている。

「その本物のマイケル・ジャクソンが60 Minutesでエド・ブラッドリーにこう言っているんです。自分のベッドに男の子を寝かせていると。これは言い逃れができませんよね?」とローガンが食い下がると、

「うーん、そのインタビューはちょっと思い出せないですね。私が知っているマイケル・ジャクソンは、とても高潔だと思える人物です」とブランカは答えている。

国税局はエステートの成功にも着目している。2013年、国税当局はブランカとマクレーンに対し、ジャクソンの遺産評価が不十分だと通告した。当局側は、評価額は11億ドルだとした。しかしエステートは死去時の評価は700万ドルだと主張している。ブランカとマクレーンの言うところでは、ジャクソンは2009年6月の時点で破産の危機に瀕していた。負債は5億ドルであった。3年間所得額の申告をしていなかった。所有していたカリフォルニア州エンシノの母親宅のローンの支払いを放置していた。サブプライム・ローンの融資会社IndyMacは抵当権行使の準備を進めていた。その一方で、60人以上の債権者がジャクソンに対して債権を有していると主張していた。その債権者には、ビデオ「Thriller」で恋人役を演じていたオーラ・レイや本物のビリー・ジーンだと主張する女性も含まれていた。

遺言執行人の的確な対処(それがブランカのポジションだ)がなかったら、すべては叩き売られ、相続人たちにはわずかしか残らなかっただろう。ブランカはIRSとの裁判については語らなかったが、ジャクソンの元マネージャーがエステートを訴えた2015年の民事訴訟における宣誓供述書では、あの性的虐待容疑での捜査は「彼の商業的価値にマイナスの影響を及ぼした」、ジャクソンは「純然たる名称および肖像権からは最小限の収入」しかなかったとブランカは話している。これが、エステートがジャクソンの名前と肖像の価値をたったの2105ドルと評価していたことの理由となっている。それにしても不可解なほどの低い数字だ。「こういうことですよ」と言うのはロサンゼルスの遺産相続専門弁護士ジェフリー・エイセンだ。「仮に2009年6月の時点である人がやって来て『マイケル・ジャクソンの名前と肖像のすべての権利を2106ドルで売る』と言ったとします。エステートの申告より1ドル多い額です。あなた、買いますか?もちろん買いますよね!私も買います。実際の数字はもっと高いんです」。

IRSも疑っており、トーメを召還した。彼はエステートによるジャクソンのイメージの評価を一蹴し、ブランカよりもむしろ自分がAEGとの取引によりジャクソンを再生したのだと主張した。トーメによれば、AEGとの契約がきっかけとなってルイ・ヴィトンやナイキなどからのCMのオファーが立てつづけにあったという。「エステートが集めた金はほとんどが私のおかげなんです。私がすべての仕事をしたんです」とトーメは述べている。彼とエステートは法廷闘争中で、数百万ドルの未払いの報酬があると主張しているが、一方エステートは、トーメは自分の立場を悪用し、あまりに多くの契約に署名するようジャクソンを説得して私服を肥やそうとしていたと主張している。

IRSは、ジャクソンが亡くなった時点ではソニー/ATVへのジャクソンの持分には価値がなかったとする主張にも異を唱えている。しかしエステートによる文書では、同社のジャクソンの持分を2億4200万ドルと算定していて、これは当時の負債3億ドルに届かない額だ。エステートは昨年、ブランカの見事な交渉によりジャクソンの持分をソニーに対し7億5000万ドルで売却したことにより全ての負債を払い終わった。一方でIRSの異議により、ジャクソンの私物が宙に浮いた状態になっている。パリス・ジャクソンの弁護士クレイグ・ピーターズよれば、それで子供たちが辛い思いをしているという。「子供たちは、父親が子供たちに残したいと思っていた物は是非持っていたいと願っています」として、ジャクソンが着ていた衣服や家に飾ってあった絵画などを挙げている。「ほとんどIRSのせいです。IRSが倉庫から出させないんです。輝くグローブとかではないんです。でも子供たちにとっては大事な私物なのです」。

当局側の弁護士は裁判所に提出した文書の中で、エステートがまとめた契約はどれも「予測可能」なものであったと繰り返し書いている。言い換えれば、彼の呼吸が止まりさえすれば金が流れ込んでくる、ということだ。IRS裁判の元弁護士で現在は個人で開業しているマイケル・モリスによれば、「エルヴィス・プレスリーが亡くなった時に彼について関係者が言っていたことと同じですよ。キャリアアップということです」。つまり、誰であってもジャクソンを数百万ドルのビジネスに転換していただろうということを暗に言っている。

だがブランカにゆかりのある者らはこれには同意しない。ブランカを「契約交渉のスモーキー・ロビンソン」とかつて評価したモータウンのゴーディは、「ジョンがマイケルの生前に彼のためにやっていたことの10倍は、亡くなった後にやっていますよ。彼はもはやここにはいない一人の男を本当に守っているのです」と語っている。ビー・ジーズのバリー・ギブもかつてブランカの顧客であったが、彼はブランカの洞察力には値段がつけがたいとし、「僕はいつも訊いていた。彼は僕に多くを教えてくれたよ」と述べている。

エステートとIRSの抗争はブランカのイメージを損なうことにはならなそうだ。もし彼が負けたとしても、ジャクソンの遺産(ずっと所得税は払い続けている)は、子供たちの金庫を守り、満たし続けるだろう。ブランカによれば、引退する歳になりつつあるためペースを落とそうとしているという。だが彼の活動はある分野では伸び続けている。ジャクソンの遺産管理における成功のおかげで、彼は故人の顧客から多くの注目を集めており、カート・コバーン、ジャニス・ジョプリン、オーティス・レディング、マーディ・ウォーターズの遺産管理者よりコンサルタントとして雇われている。

彼は全てを引き受けたいと思ってはいるが、制限せざるを得ない。「サミー・デイヴィス・Jrの相続人の方から電話をもらったんです。お手伝いしようとはしているんです。彼とマイケルは友人でしたから。でも『代理人をお引き受けすることはできません。皆さん好戦的なので』と言いました」。故ラット・パッカーの相続人はなんとか折り合いをつけ、再び彼を雇おうとしたのだが、ブランカは「出来ません。十分な資産をお持ちでないので」と答えたという。

(おわり)

ソース: bloomberg.com / MJJFANCLUB.JP
関連記事
Google検索

Google

WWW検索 ブログ内検索

プロフィール

MJJFANCLUB.JP

Author:MJJFANCLUB.JP
* このブログはマイケル・ジャクソンのNewsブログです。
EmailAddress:
info.mjjfanclub.jp*gmail.com
の*を@に変えてください。

お知らせ

マイケル・ジャクソン「ONE」、チケット ON SALE NOW!!!
Man in the Music-スパイク・リー監督推薦図書
MJJFC.JPフェイスブック (TV情報 etc.)
カレンダー
最新記事
カテゴリ
リンク
文字サイズ変更ボタン
文字を大きくする 文字を規定のサイズに戻す 文字を小さくする
モバイルはこちらから
QR
カウンター