大統領選:マイケル・ジャクソンとドナルド・トランプ (その1)

リーシャ:ええと、アメリカは今年は大統領選ですが、とても騒がしいですね、いつも以上だと思います。そして少なからず私を困惑させているものがあります。ウィラ、今回の大統領選で、マイケル・ジャクソンという名前が何度取り上げられたか気が付きましたか?

ウィラ:もちろん!

リーシャ:例えば先週、プロモーターのドン・キングが決起大会でドナルド・トランプを紹介したことがトップニュースとなりました。話題となった彼の発言の一部です。

「私はマイケル・ジャクソンに言った、こう言ったんです。君が貧しいなら、君は貧しい二グロだ・・・私はこういうNワード(注:黒人に対する差別的呼称のこと)を昔よく使っていましたが・・・だがもし君が金持ちなら、君は金持ちの二グロである、と。知性的なら、知識人なら、知性のある二グロだ。ダンスやスライドやグライドがうまいニガーなら・・・つまり二グロなら(笑い)、君はダンスやスライドやグライドがうまいニグロだ。だから、わざわざケンカをするな、同化する事など出来ないのだから。つまり、君は死ぬまで二グロなんだよ」

ウィラ:そう、リーシャ、マイケル・ジャクソンが生きていた何をしていたか、あるいは何をしなかったか、ということを推測することはあまり気が進みませんが、ドン・キングのコメントを評価したとは思えません。これを聞いて、私はすぐに、キングがビクトリー・ツアーの終わりに言ったことを思い出しました。

「マイケルが知らなければならないこと、それはマイケルがニガーだということだ。どんなに歌やダンスがうまくても関係ない。彼が飛び跳ねようが私は関心がない。彼は世界の大スターの一人だが、ニガーの大スターだ。彼はそのことを受け入れなければならない。理解するだけでなく、受け入れるんだ。そしてニガーでありたいのだと誇示することだ。なぜかって?ニガーにそれができるということを示すためさ」

リーシャ:おお、ランディ・タラボレッリの本に書いてあるやつですね?ドン・キングは同じことを言っているんですね!

ウィラ:そっくりですよね?タレボレッリによれば(彼も情報源としては問題が多々あると思う)、マイケル・ジャクソンはキングのコメントに激怒し、訴えようとしたとのことですね。弁護士だったジョン・ブランカにこう言ったようです。「あの男は初日からずっと我慢の限界ギリギリだった」。

リーシャ:うーん、よくわかりません。この時、ドン・キングはマイケル・ジャクソンを叱ったのでしょうか?それともアメリカ文化における人種的分断について重要な指摘をしたのでしょうか?タラボレッリの書き方では、ビクトリー・ツアーの次のレグでのパフォーマンスに彼が同意しないのでキングがたしなめたという印象です。でも最近のキングの発言を考えると、そうとも言い切れません。

ウィラ:あるいは両方なのかも。つまり、アメリカでは黒人と白人の間に埋められない溝がある、もしマイケル・ジャクソンがその溝を乗り越えられると信じているなら、彼はバカである、とドン・キングは言っているように思います。

リーシャ:その通りだと思います。キングがまさに言ったように、「わざわざケンカをするな、同化することはできない」ということですね。

ジャーメインの著書「You Are Not Alone: Michael Through a Brother’s Eyes」ではこの話について別の説明がされています。ジャーメインによれば、ドン・キングの発言は違う文脈の中でなされたものということで、彼はこう言っています。

「ドンは、気配りや調整で褒められたことはない。そしてその巨大なエゴゆえに彼はプロモーターなのだ。彼は図々しく、しかし人目を引く男だった。彼(最強に騒々しい)とマイケル(寡黙なソウル)のやり取りを見れば、子供と、いかがわしいとしか思えない面倒な叔父という感じに見えただろう。あるミーティングを私は忘れることができない。ショーの演出について議論していた時のことだ。マイケルは、ファンに何かお返しがしたい、レベルを上げたいと力説していた。

『マイケル!』ドンはマイケルの発言を一刀両断した。『忘れるな。君が金持ちのニガーであろうと貧乏なニガーであろうと、ただのニガーであろうと関係ない。どんなにビッグになろうとも、この業界は君をニガーとして扱うんだよ』。言いかえれば、彼の考えによれば、音楽業界に仕える身なのだから、それ以上に力を持とうとするな、ということなのだ。その部屋にいた全員が凍りついた。音楽業界が人を煙に巻いている(煙を吐いている)とするなら、ドンはストレートに氷の息を吐いたのだ。

最初に笑って沈黙を破ったのはマイケルだった。彼はある意味、面白いと思った。そして怒ることもなかった。私たち全員がそうだった。黒人が黒人に対し、ずっとこんな話してきた。そしてこのような会話は、インディアナ州ゲーリー出身者にとって、おかしいというほどのことではなかったのだ。(pp243-244)」

ウィラ:まあ、完璧に違う解釈ですね。タラボレッリとジャーメイン・ジャクソンの異なる説明をこんな風に並べてみると目からウロコですね。見る者によって、同じストーリーが劇的に異なる見方や解釈をされるということをよく示しています。

リーシャ:その通りですね。ジャーメインは、ドン・キングが音楽業界全体にわたる人種差別について言っているのだと考えていたようですね。兄弟たちも同じように理解していたとジャーメインは考えていたということです。

ウィラ:そう、この違いは重要ですよ、リーシャ。まったく違う状況が見えてきますからね。でもマイケル・ジャクソンの本心がどうだったか知るのは難しいです。彼は人種や人種差別について率直に言い合うことをよしとしていました。ジャーメインが言うように、彼はキングのコメントを評価したかもしれません。でも、ビクトリー・ツアー中、彼はキングが自分の意見を代弁しているととられることを嫌っていたというのは広く知られた事実です。実際、彼は、「キングが許可なくマイケルの代理であるとして他人と接触するかもしれない」と書面で注意を与えています。

これ以前にも、ビクトリー・ツアーのプロモーターとしてドン・キングを起用することを希望していなかったとマイケル・ジャクソンは明言しています。しかしながら、彼の父と兄弟たちがキングを支持しました。彼が巨額の報酬を約束したからです。そのためマイケル・ジャクソンの主張は却下され、キングが雇われました。結局、彼の主張は正しかったと証明されたと私は思いますが・・・ドン・キングはビクトリー・ツアーの舵取りをするような経験はありませんでした。このことがジャーメインの説明に影響しているかもしれません。表面上の緊張感にもかかわらず、マイケル・ジャクソンはドン・キングのことが本心では好きだった、とジャーメインは言っているようです・・・そうかもしれないし、違うかもしれません。

リーシャ:私もそう思います。ドン・キングの味方をするつもりはありません!私の考えは、ボクシングはコンサートのプロモーターとは似ても似つかないということです。だから、ビクトリー・ツアーでの彼は素人同然ではなかったかということです。でも、アメリカの文化と音楽業界のかかわりについてこうした意見を言っていた彼は、役に立とうとはしていたというように思えます。

そしてこうも思うのです。彼は彼の言い方でドナルド・トランプに注文をつけたのだと。彼はスピーチで強調しています。トランプを支持するのは、アメリカの政治システムは破壊して作り直す必要があるからだ。それは、アメリカの政治システムは女性と黒人に対する不平等が土台になっているからだ、と。

ウィラ:そして、Nワード(マイケル・ジャクソンも"This Time Around"で使っています)を使ったことで巻き起こった議論の中で忘れられていますが、これは実に戦いの呼びかけなのです。ドン・キングもマイケル・ジャクソンも、Nワードを人種問題に目を向けさせるために使っています。だから私にとってNワードそれ自体はこの場合においては問題ではありません。ドン・キングが組織的人種差別について強い調子で述べている、そして残念なことに彼の言葉の中には多くの真実がある、ということについてはあなたの言う通りだと思います。

でも一方で、キングは、人種差別は不変であり、変わる可能性もないとも言っているように思えます。マイケル・ジャクソンが何をしようとも、音楽業界の人々もそれ以外の人々も、人種というレンズを通して彼や有色人種の人々を見ているのだということです。マイケル・ジャクソンはこのことについてはまったく同意しないだろうと私は思います。

彼は、特に成長してからは、人種差別について強く語っています。彼のキャリアは、アートや特異な文化的立ち位置を通じて人々の信ずるものや大局観を変えられるという信念の上に立っています。彼はアートを変革の力とみなしていました。そして私は、彼は自分が偏見や先入観を変えられる、人々の心を変えられると信じていたと思います。

リーシャ:心の底から同意です。とんでもない反発を受けつつも文化を型にはめることに断固拒否するマイケル・ジャクソンは、アメリカ社会にインパクトを与えました。私たちが想像する以上です。マイケル・ジャクソンが落胆したというより、むしろ、ドン・キングは、折り合いをつけるようにと促した制約に刃向かうことを結果としてマイケル・ジャクソンに促したのではないか、というように思えます。

ウィラ:それは面白そうな疑問ですね。「ダンスし、スライドし、グライドするニグロ」を逸脱しないということを受け入れろというキングのアドバイスは、それが間違っていることを証明してやるという思いをマイケル・ジャクソンに抱かせた。目に浮かぶようです。

リーシャ:まったくその通りですね。それ以外には想像ができませんよ。

でも、この選挙でマイケル・ジャクソンの名前を出したのはドン・キングだけではありません!トランプ自身も、マイケル・ジャクソンとの友人関係にあったと広めようといろいろやっていました。マイケル・ジャクソンがいかに文化というものを推し進めたのかということを物語っていると私は考えています。例えば、ここにジョナサン・アーンスト(ロイター)の写真があります。共和党予備選挙で勝利したドナルド・トランプの記事とともに掲載されているものです。

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トランプの支持者の一人がこの写真にサインを求めています。明らかです。でもトランプはただサインして返すのではなく、プレスにこの写真を誇らしげにひけらかすのです。これはパワー・ムーヴ(ブレイクダンスの言葉で大技のこと)だと私は思いましたよ。ヘイ!見てよ!俺はすばらしい、パワフルだろ?これがマイケル・ジャクソンと会ったことのある証拠さ!という感じです。

(その2に続く)
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