「Just Another Part of Me」:ブラッド・サンドバーグとCaptain EO (その5)

シルヴィア:私はミラーの文を読んだことはありませんが、面白そうですね。ところで私は「ユートピアの潜在性」という考え方についてすこし違った見方をしてみたいです。

リーシャに、MJは黒人のルーク・スカイウォーカーのようだと以前のレビューで言いました。このシリーズはEOが制作された時、まさにポップ・カルチャーに消しようのない足跡を残したところでしたね。そして実は、Captain EOを解釈するという興味深いレンズはアフロフューチャーリズムなのです。アフロフューチャーリズムとは90年代に作られた言葉で、ジャネール・モネイの作品がこれにあたると聞いたことがある方もいるかもしれません。しかし実際にはこれは70年代の文学や音楽、大衆文化の中で明確になり始めていたのです。アフロフューチャーリズムはブラック・サイエンス・フィクションや宇宙論から生まれたものであり、ライターのYtasha L. Womack が言うように、未来と同様過去にも言及しています(実際、彼女はマイケルのムーンウォークを宇宙論の一部として言及しています)。

「古代のアフリカの文化」にあるアフロフューチャーリズムのルーツや、Womackが触れている神話に関しては、「Remember The Time」について考えることも可能でしょう。マイケルの一連の作品の中のさまざまな点において、アフロフューチャーリズムの過去/未来のテーマとの関わりが見られます。EOの他には、ETのストーリーブック、ジャクソンズの「Can You Feel It」のビデオ、それに「Scream」の宇宙船などです。

アフロフューチャーリズムを研究しているヴァロリー・トーマスらは、アフロフューチャーリズムの礎と見なされているミュージシャンには、P-Funk mythology や1975年のアルバム「Mothership Connection」で知られるジョージ・クリントンが含まれると指摘しています。このアルバムには宇宙船に乗って地球にやってきたスターチャイルドというキャラクターが登場します。「Mothership Connection」の中でクリントンは、スターチャイルドは「3Dで大騒ぎ」と歌っています。10年後、マイケルはCaptain EOでそれに答えているんですよ。

ウィラ:それは面白いですね、シルヴィア。私はアフロフューチャーリズムのことは数週間前に初めて聞きましたから、ほとんど知りません。でも私が読んだものからは、いろいろな意味でマイケル・ジャクソンと関係があることがわかります。例えば、アフロフューチャーリズムとして説明される多くの作品は、多文化社会という強い意志のユートピア的ビジョンを提示しています。ポジティブに、楽しくさえある方法で、違うものや異質なものを一つに包み込む社会。まさにマイケル・ジャクソンです。

そしてシルヴィアが言うように、それは未来的ではあるけど過去を否定するものではなく、過去と現在とを未来へ結びつけるのです。「This Is It」の冒頭のライトマンを思い出します。彼は未来の人ですが、過去の重要なシーンを写したビデオ・スクリーンでできた宇宙服を着ています。

ヴェロニカ:そうです。大変重要なポイントです。ライトマンと、そして過去、現在、未来の混じり合いです。私はEOはこの一部であると見ています。実際、ここでの議論は、ハーモニック・コンバージェンスと、1982年に受講した宗教史家のミルチャ・エリアーデの講義を思い出させます。それは「Waiting for the Dawn(夜明けを待つ)」というタイトルでした(そしてご存じの通りEOというのはギリシャ語で夜明けを意味します)。この講義でエリアーデは、今世紀で最も重要な出来事は、非西洋的な、すなわち、アジアと第三世界の精神的伝統の再評価であり、これにはシャーマニズムのような「原始的」な伝統も含まれる、と示唆しました:

非西洋的な精神性の価値や重要性の発見(あるいは再発見)は文化的な革新を表わしています。なぜなら、それは他者との、すなわち、アジアと古代の伝統を代表するものとの対話と相互関係が始まるということになるからです。

彼の見方では、人類は、「歴史を記述することに興味を持つ」こと、世界あるいは魂の中で起きていることに興味を持つこと、という意味で「卓越した歴史上の存在」なのです。物語や想像世界の「欠くことができない必要さ」、それが神話であろうと芸術的な創造であろうとも、そのどれもが「想像の宇宙」を創り出すのです。

リーシャ:アフロフューチャーリズムのレンズを通してマイケル・ジャクソンを見るのはとても魅力的です。例えば、アルバム「HIStory: Past, Present, and Future」に収録されている「Scream」について考察する時などは特に。アルバムのコンセプトがとても面白いと思います。と同時に、映画「Moonwalker」についても私は考えるんです。30年代のクラブのセットが使われた「Smooth Criminal」のシーンでは未来的SF効果で過去と現在がミックスされています。

シルヴィア:「HIStory: Past, Present, and Future」はアフロフューチャーリズムにピッタリ合いますね。このアルバムについては語られるべきことがたくさんあります!

リーシャ:その通り。

ウィラ:同意です。もっと語られてもいいと思います。あなたの言う通りですよ、シルヴィア。アフロフューチャーリズムはマイケル・ジャクソンへのアプローチとしては得るところが多い切り口です。それからリーシャ、「Moonwalker」のSF効果は、それを40年の犯罪映画のスタイルに対して使うことで高められているというのは同意見です。だから私たちはまさに、「過去、現在、そして未来」が混ざり合っているのを見ることができるんです。

リーシャ:「Moonwalker」は「Can You Feel It」で見られるテーマにも合っています。Captain EOにも。エリナーが指摘しているように、マイケル・ジャクソンはCaptain EOの製作にはクレジットされていませんが、全編を通じて彼の影響は確かに見られます。アフロフューチャーリズムの考え方はこれをはっきりさせるための手助けとなります。それから、マイケル・ジャクソンのもう一つのSFアドベンチャー、ビデオゲームのスペースチャンネル5にも触れる価値はあると思います。

シルヴィア:そうです。あなたもお分かりの通り、アフロフューチャーリズムはマイケルの一連の作品を眺めるにはとても便利な切り口です。つまり、私たちは彼の作品の中に過去と未来の関連性だけでなく、彼の明らかな超俗性を観察できるんです。ファンにとっては今も昔も明らかですが。マーゴ・フェファーソンは自著で、マイケルの子供スターとしての尋常ではない経験に触れた章に「Stat Child」というタイトルをつけることで、彼の超俗性(とクリントンのエイリアン?)について触れています。

チャーディン・テイラー・ストーンが書いているように、アフロフューチャーリズムは、Black Diaspora(黒人の離散。実際のところ、暴力的な侵入者によって誘拐され見知らぬ国へ誘拐されたことによって形成された)の人々にとっての変革や可能性をイメージするための宇宙なのです。宇宙、テクノロジー、パワー、ファッション、性別、その他諸々のあらたな関係に思いを巡らすための一つに手段なのです。

EOでは、一人の黒人が、暗黒の女王への贈り物を託されて宇宙船を指揮します。取るに足らない責務というわけではありません。マイケルは独特のやり方でこの任務を遂行します。新たな空間的次元を用いたEO製作という経験と、ディズニーとルーカス(インダストリアル・ライト&マジック)が提供した最高の技術と資力を背景としたリーダーシップ能力においての彼の働きは、スクリーン外でのアフロフューチャーリズムの試みだと考えることも可能だと思います。

(その6)につづく
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