「We Are the World」30周年記念、分刻み解説(その5)

4:54 このシングルで最もスリリングなセクション、スティーヴィー・ワンダーとブルース・スプリングスティーンのデュエットはセッション開始時には計画されていなかった。そんな話は全くなかったのだ。ディランが自分のパートを終えた後、ジョーンズがスプリングスティーンをマイクの前に呼んだ。「神様がやって来て僕の肩を叩いたに違いない。ブルース・スプリングスティーンに頼んでこのレコードを良いものにすべきだと。理屈では全くない。タイトル・コーラスのメロディーに対するソロ・アンサーをやってもらえということだよ。彼の唯一無二のボーカルの、特にこの音域での質と強烈さがその理由さ」とジョーンズは振り返っている。

「君の歌はファンタスティックだよ、ディラン」とスプリングスティーンは歌う準備をしながら言った。ディランはスプリングスティーンの歌を聞こうとその場にとどまった。

「コーラスに対する応援のつもりで」とジョーンズはスプリングスティーンに指示を出した。

「やってみるよ」とスプリングスティーンは答え、後ろのポケットに楽譜を突っ込んだ。テイク後、「大汗かいたぜ」と言い残し、彼はすぐに部屋を出て、数台のリムジンの脇を通り過ぎて自分のピックアップ・トラックまで歩いて行った。朝の8時までには、全員が今日はこれまでとなった。

ジョーンズは目を覚ますとすぐにテープを聴き、素材が十分ではないと感じた。「締めくくるために必要だと思っていたエネルギーが、思ったより早く消えてしまっていたんだ。グループのパワーのピークは2回のコーラスとキー・チェンジの後に来ていた」。スプリングスティーンのボーカルが使える、コーラスをスティーヴィー・ワンダーと取り換えることでアクセントがつけられる、と彼は気が付いた。そこで彼はワンダーをスタジオに呼び戻し(ワンダーはこのセッション中、カラフルなパッチワークのシャツを着ていた。1月28日の晩に着ていた青と黒のセーターではない)。そして彼にサビを歌わせ、「二人のマスター・アーティストのボーカルの強烈さ」を組み合わせた。二人の掛け合いはレコード演奏時間のうちのまるまる1分ほど占めるほどとなった。

5:53 ハロー、ベット・ミドラー!ニューウェーブの髪型がナイスだ!

6:05 ハロー、ジェフリー・オズボーン!

6:07 ハロー、リンジー・バッキンガム!1985年、フリートウッド・マックは活動休止中だった(1982年の「Mirage」と1987年の「Tango in the Night」の間)。バッキンガムは1984年にソロ・アルバム「Go Insane」がそこそこのヒットとなっていた。彼はクレイガンのクライアントであったことから、出演に同意した最初のアーティストの一人であるが、コーラス部を担当する予定であった。バッキンガムによれば、その日の出来事で忘れないのは、トイレでマイケル・ジャクソンと鉢合わせしたことだという。「彼を怖がらせたらしい!彼はナーバスだった。誰が入って来ても驚く感じだったね。だから僕はただ、会釈をしただけだったよ」。

6:15 ジョーンズとジャクソンがジェームス・イングラムを高く評価していることがわかる。彼はアドリブ担当の一人となり、両方の拳を突き上げ、コーラスを最後のフェード部へと導いた(レイ・チャールズによるリプライズと組み合わされた)。

6:40 ジョーンズは右腕を大きく振っている。ラブレア通りに面したこのスタジオの外で、タクシーを呼びとめようとしているかのようだ。コーラスは歌い続け、踊り続けている。セレブのコーラス隊のメンバーを書き出しておこう。彼らが楽屋組に送られずに幸運だった。ポインター・シスターズのルースとジューン。ジャクソン・ファミリーのマーロン、ティト、ジャッキー(ジャーメインはいない)。ヒューイ・ルイス以外のNewsのメンバーたち(マリオ・シポリナ、ジョニー・コーラ、ビル・ギブソン、クリス・ヘイズ)。プリンスが欠席していなければ、ヒューイ・ルイスはバンドメンバーらとともにその晩をブラブラして過ごしていただろう。

6:47 7分強のこのシングルレコードが最後のフェードアウトに向かう時、ライオネル・リッチーはカメラに向かってOKサインを出す。「We Are the World」は5週間半後の1985年3月7日の木曜日に発売された。初回出荷数は80万枚だった。最初の週末を終えるとこのシングルは売り切れとなり、結局4週連続ナンバーワンとなった。この曲に取って代わって首位に立ったのはマドンナの「Crazy for You」だった。マドンナは間違いなくこの時代の大スターだったが、「We Are the World」のセッションには参加していない。

このシングルはアメリカでは800万枚売れた(一部では、世界では2000万枚売れたと言われている)。同名アルバム(プリンスの「4 the Tears in Your Eyes」やカナダ人オールスターズ、ノーザン・ライツによる「Tears Are Not Enough」が収録されているが、ヘビメタ版の飢餓救済グループのHear'n Aidは収録されていない)は400万枚以上が売れた。USA for Africaは飢餓救済のために7500万ドル以上の収益を上げた。「We Are the World」は現在でもお金を稼ぎ続けている。

エチオピアで食糧を配布するという作業は物流の面から、そして政治的にも大変困難なことであり、かつ、得られた資金もすべてを有効に使えているわけではないとはいうものの、この歌は世界に多大なる良い影響を与えている。石はパンには変わらないかもしれないが、音楽は命を救うのである。「We Are the World」にはどことなく救世主的な響きがあり、自己満足という後味の悪さもある。だが、あの晩スプリングスティーンが言ったように、参加者たちの心の根本は正しいものだ。「人が飢えて死ぬのを防ぐためにあなたの一晩を使わせてくれと誰かに頼まれたら、それはとても難しいが、ノーとは言えないよ」。

(おわり)

source: rollingstone.com
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