メイキング・オブ・ビデオ「Billie Jean」

マイケル・ジャクソンの1983年の作品「Billie Jean」のビデオの監督スティーブ・バロンが80年代の自身の作品を振り返った本「Egg n Chips & Billie Jean: a Trip Through the Eighties」を出版した。以下は、マイケルの古典「Bilie Jean」のショートフィルムについてや、キング・オブ・ポップとの制作過程について書かれた部分の抜粋である。

オファー
このころ(1982年)までには、私は15本から20本のミュージック・ビデオを制作していました。その中には当時イギリスで1位になったものもあります。ヒューマン・リーグの「Don’t You Want Me」です。マイケル・ジャクソンの名前は誰もが知っているというわけではありませんでした。「Thriller」が出てくる数か月前だったということを忘れてはいけません。もちろん、マイケルには心に響く魔法がありましたが、私はヒューマン・リーグの方に興奮していました。当時妻は最初の子供を妊娠していましたので、私の最初の反応としては、「私には無理だと思う」というものでした。「やらなければならない」というものではなかったのです。私を説き伏せたのは妻でした。

打ち合わせ
マイケル・ジャクソンのマネージャーは、マイケルはビデオを魔法のようなものにしたい、マイケルは「Don’t You Want Me」を観て、映画的な画面や雰囲気を気に入っている、と言いました。マイケルはストーリーを持たせたミュージック・ビデオというものではなく、映画のようにしたいと考えていたのです。

予算
5万ドルでした。それまでの制作で私が提示を受けた最も高いものの予算の2倍でした。もっとも、長い目で見れば、「Beat It」が5週間後に撮影された時は30万ドル、「Thriller」の時は200万ドルでした。だから3か月の間に「Billie Jean」の予算は微々たるものになってしまったのです。

着想
それ以前のジョーン・アーマトレーディングの曲、ミダス・タッチ(注:ギリシャ神話のミダス王は手で触れるものすべてを黄金に変えることができる)が出てくる歌ですが、この曲のビデオ用に考えていたアイディアをもとに、(Billie Jeanの)アイディアを考え出したのです。つまりそのプランとは、マイケルが行くところ、いたるところで何もかもが成長して光の中で金になる、というものでした。私はこのコンセプトをファックスで書いて、このページと内容の半分をマイケルへファックスで送りました。マイケル側が言うには、「マイケルは気に入ったよ。ピーターパンのようにしたいと言っている」ということでした。だから、「イエス、気に入った、こっちへ来てくれ、コンセプトを気に入ったよ」ということだったのです。

フィルム
16ミリフィルムを使いました。「Don’t You Want Me」は35ミリフィルムを使いましたが、その35ミリを使わなかったのは、予算が十分ではなかったからです。

マイケルとの顔合わせ
彼は優しくて、とても寡黙、物腰はやわらかでした。ビデオのプランについては熱心に聞きたがりました。そしてのちには、私のことも知りたがりました。

撮影前
私は本当によい友人に絵コンテをやってもらったんです。私はマイケルと座り、コマ割りを見せました。サビの部分には空白のコマが2つありました。彼のマネージャーが、彼がダンスをするかもしれないと言っていたからです。マイケルは鏡の前で練習しているとマネージャーは言っていました。

私はマイケルに、彼を追う私立探偵というアイディアを話しました。それは彼が私に話してくれたことをベースにしたもので、この曲の基本コンセプトでした。私立探偵について彼が新聞で読んだことが元になっているんです。

マイケルが天才と感じた瞬間
シーンごとに、彼と通しでやってみました。カメラ店のシーン、カメラのフラッシュが光り、彼のエネルギーが放射されてミダス・タッチが発動するというシーンですが、マイケルがアイディアがあると言いました。「ストリートにテーラーを作ったらどうかな?ショーウィンドウがあってマネキンがあるんだ。僕がカメラ店を過ぎたらマネキンが動き出して僕の後ろに飛び出してきて一緒にダンスをするというのは?」私はまったくそのアイディアを気に入りました。素晴らしいコンセプトだ、すべてが素晴らしくなる、と思いました。素晴らしいコンセプト、素晴らしいストーリー。まさに天才のアイディアでした。

そのミーティングの後、私はプロデューサーのところへ行って話しました。
「マイケルが素晴らしいアイディアを考え出しました。あの店は変更する必要があります。3軒目の店です。マネキンが必要です。ダンサーも。リハーサルもしなければなりません。振付師、衣装デザイナーも。それからきちんと撮影するには数時間余計にかかります。最初のダンスの後のシーンとなるからです」。

プロデューサーの検討では、この変更で5000ドル余計にかかってしまうということでした。CBS(マイケル・ジャクソンの所属レーベル)はノーと言いました。「だめだ。これ以上はびた一文出せない。言っただろう、50000ドルの予算を付けたんだ。それがすべてだよ」と彼らは言いました。

幸運
このアイディアを実行する余裕はないということを誰かがマイケルに言うだろうと思いました。私の中の半分は、マイケルが「僕が出すよ」って言うのを期待していました。でもそうはならなかった。金曜日の夜に電話がかかってきました。私は寝ていたので、「ここはどこ?」状態だったのですが、電話はマイケルからでした。それは奇妙なことでした。自分で電話をかけるような人という印象がなかったからです。「やあ、スティーブ。ずっと考えていたんだけど、明日はあのダンスをするべきじゃないと思う」というようなことを彼は言いました。私は、「このことは言うまい。彼がキャンセルしたんだ。彼がやらないと思った以上、予算のことを彼に話すことになんの意味がある?」と思いました。

彼はなぜ諦めたのか?私は前向きに理解しています。当時、彼は「Beat It」のことが頭にあったのだと思うからです。そして彼は「Thriller」のことを考えていた。あのすばらしいアイディアをやらなかったのは残念です。言ってみれば欠けたシーンのようなものです。なんとしても撮りたかった。もっといいビデオになっていたと私は思います。

ダンス
前日に、道路の石がすべては光らないと聞かされました。マイケルが動ける範囲が限られているということです。光るものが11枚。ホップスコッチのパターンで置かれることになっていたのですが、朝までにそのパターンを決めなければならなかったんです。だから、「マイケル申し訳ない、この石が光って次がその2つ、そしてあの石が光る」っていう具合に言うしかなかったんです。

リハーサルとかそういうものを見ていなかったから、私は彼がどうするつもりか想像していました。彼はいくつかムーヴを練習していましたが、彼がそれらをどうつなぎ合わせるのかは神秘的なものになる、と私は思いました。彼は注意深く見ていました。私が彼に言ったことを注意して見ていました。それから私が「マイケル、少しリハーサルをしましょうか」と言うと、彼が「それを撮影できるかな?」と言ったんです。

サビの部分が近づいて来た時、彼は脚を少し動かし始めました。そしてサビが始まると、彼は踊り始めました。今までに見たどれとも似ていないダンスでした。それはまさに桁違いの、本能的なものでした。彼は組み立て、そして私たちが見ているあれを創り出したのです。私はヒートアップしました。彼が発するエネルギーでヒートアップしたのです。カメラは文字通り湯気で曇ってしまいました。接眼レンズ(覗き込むところのレンズ)が曇ってしまったのです。それを見て私がヒートアップしたからです。彼は曇ったレンズの中に消えてしまいそうでしたが、それが超現実とも言える瞬間を創り出したのです。

編集
私はマイケルと、コベントガーデンのロングエーカーの近くで会いました。編集の施設です。私たちはその晩ほとんど寝ずに編集していました。いつものように、来たらすぐやる、ということだったからです。彼はたまたまロンドンにいたので、タイミングとしてはパーフェクトでした。彼が背後の長椅子に横になっていたのを覚えています。すると彼はスクリーンの一つを見て言いました。「このショットがいいよ」。彼は分割された画面を見ていたのです。彼は、その3分割された画面が選ぶべきものだと思ったのです。私は何も言いませんでした。

口コミで評判になったビデオ
覚えているのは、2週間後、MTVは「Billie Jean」を放映するつもりはないということを聞かされました。彼らが言うには、「Billie Jean」は彼らの視聴者向きではないということでした。それから私は何度も聞かされました。つまり、CBSがMTVに電話をかけて激怒したのです。「圧倒的ヒット・レコードだ、圧倒的ビデオもあるし、偉大なアーティストが歌っている。これがMTVの視聴者向きではないということがあるか!いったいMTVの視聴者とは誰なんだ!」

MTVによると、MTVの視聴者層は中流アメリカ人だということでした。白人とか黒人ということが使われたとは思いません。MTVは草創期でした。彼らは自分自身がわかっていなかったし、自分たちがどうなっていくかもわからなかった。そしてマイケル・ジャクソンこそがMTVだということになることもわかっていなかったのです。彼らは、自らが作り上げた帝国の中にあるものと戦っていたのです。

Source: The Telegraph & MJWN
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