BADを称える:Speed Demon(その5)

さて「Speed Demon」に話を戻しますが、私たちはここでもシリアスなメッセージの上にかぶせられた楽しい娯楽映画という構造を見ることになります。いろいろな意味で、彼は社会の中におけるアーティストの役割というもの、そして、アーティストと警察がいかにお互いに誤解しているかということを探っているように思えます。警察はすべての人に法に従ってもらいたいと思っているし、今までと違うことはして欲しくないんです、たとえそれに違法性がないとしても。そしてアーティストというものは常にそのような慣習に挑戦しているのです。このビデオの最初の方、西部劇の「保安官」というものによって、警察とアーティストの対立というものを見ることができます。保安官はマイケル・ジャクソンを追い始め、見下したように「Hey Snogbird」と呼びかけるのです。結局、その警官は反則切符を彼に渡して言うんです。「ここにサインが要る」と。その反則切符はスピード違反ではなくダンスに対してであるということが重要です。

ジョイエ:そう、警官を擁護するなら、あれは明らかにダンス禁止ゾーン、と書かれていましたね。

ウィラ:本当ね!それに彼が法律を守る市民だということにお気づきかと思います。警官があのおかしな標識を指し示した後はダンスをしていません。警官にダンスをするつもりはないと話しています。彼がその標識に同意していないのは明らかですけど。

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でも、このことは、とても軽い、エンタテイメント的なやり方で扱われていますが、一方で本当に複雑な考えについても注意が向けられているんです。警察官は、彼にダンスをさせないように、アートの表現をさせないようにしています。そして彼を犯罪者として扱っている、いや、少なくとも法を破る者として扱っています。ダンスのためです。そしてこれは、数週間前に私たちがショートフィルム「Bad」で話したことにつながっています。その時お話したように、アーティストと犯罪者にはある共通点があります。つまり両者ともに社会の規範に挑戦しているということです。両者はそれぞれ別の方法で挑戦しています。一方は私たちの文化的意識を合法的によい方向へ向かわせる、もう一方は違法あるいは破壊的な方法です。でもこの違いというものがあいまいなことが多々あり、アーティストは犯罪者として扱われてしまうんです。そしてマイケル・ジャクソンはこのことに気がついていました。「Speed Demon」や「Bad」で私たちに示してくれたようにね。「Ghosts」がもっとも明確かもしれません。彼が「Ghosts」で非難を受けているのは、アーティストだから、お化けの話をするから、違いすぎるからだ、ということを思い出してください。

そして、アーティストの罪人視が、とてもリアルに、1993年と2003年に彼に向けられた疑惑を警察(とマスコミ、市民)が解釈したやり方そのままに展開しています。そこには、彼が、歌とダンスによって、性差や人種の境界に挑戦することによって、異なる者を代弁することによって、社会の規範を越えようとしているという考え方があるように思われます。ジョー・ボーゲルが以前、説明していましたね・・・だから、彼がモラルの境界をも越え、違法な、モラルに反することをやろうとしているかもしれないと考えた人々もいるようです。

ジョイエ:とても興味深いポイントだと思います。このことをもっと単純に説明するのは、古人が言う「本を表紙で判断する(物事を見た目で判断する)」ということかもしれません。彼が「奇妙」だとか「薄気味悪い」と見える人たちもいますから。優しく無垢に見えるような人よりは、彼は犯罪者に見えやすいのかもしれません。ウィノナ・ライダーが思い浮かびます。彼女が常習的に犯罪を犯すとは誰が想像したでしょうか。彼女はとても「普通」に見えていました。

ウィラ:ウィノナ・ライダーの件については、マスコミで大変注目されたこと以外はあまり知りません。普通の万引き容疑への注目度をはるかに上回っていましたね。でも、アーティストの罪人視には長い歴史があります。マッカーシー裁判について考えてみてください。どれほど多くのアーティストのキャリアがこれによって破壊されたか。それに、おそらく至上最大のイギリスの詩人であろうウィリアム・ティンダルも。ジェームズ王訳(欽定訳)聖書のほとんどはティンダルが書いています。シェークスピアはティンダルなしではジェークスピアたりえなかっただろうと言えます。シェークスピアの言葉のリズムはティンダルが反映されています。そしてティンダルは火あぶりの刑に処せられました。

セーラムの魔女裁判の頃、どれほど多くの魔女として罰を受けた女性たちが、男性たちもですが、アーティストの繊細さを持っていたのだろうと私はいつも思うんです。彼女たちは間違いなく適合しなかった人々です。あなたが仰るように、「変わってる」とか「奇妙」だと見なされていました。多くは結婚せずに自立していた女性であり、慣習に囚われない生き方をしていました。そしてこれが興味深いのですが、魔女裁判で最初に糾弾された人物はティチューバという奴隷で、子供に話を聞かせるのが好きだったのです。ちょうど「Ghosts」のマエストロのように。

ジョイエ:それは本当に面白いポイントですね、ウィラ。それについては多分その通りでしょう。彼らの多くは何らかのアーティスト、あるいは少なくとも思考が自由な人々でした・・・「Ghosts」のマエストロもそうです。でも、あなたが言わんとすることは、表面上はかわいらしいクレイメーションのビデオだけれども、「Speed Demon」は子供っぽいとか単純どころではない、ということだと思うんです。

ウィラ:その通り。もしくは私が言おうとしているのは、「Speed Demon」はその両方として機能しているのかもしれませんね。子供たちは楽しむ、だけど大人が取り組むべき複雑な考え方というものもある、というように。
(終わり)

原文:http://dancingwiththeelephant.wordpress.com/2012/09/19/celebrating-bad-speed-demon/
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