ジョー・ボーゲル:マイケル・ジャクソンはいかにして「Bad」を作ったか(その3)

ジャクソンはそういった新技術に魅了されていて、絶えず新しいサウンドを探していた。例えば「Dirty Diana」のオープニングのサウンドの特性はSynclavierのエキスパートでBay Areaのデザイナー、デニー・イェーガーによるものだ。イェーガーと彼の新しいサウンド特性とサウンドスケープ(音風景)について聞いたジャクソンは彼に連絡を取り「Bad」に協力を求めた。イェーガーのサウンドは最終的に「Dirty Diana」と「Smooth Criminal」に登場する。「マイケルはいつも新しいものを探していた」とフォージャーは言う。「どれだけの新しいものを僕たちは発明したか、調査し発見したのか。たくさんのことが進行していた。それこそが『Laboratory』の目的だったのさ」

しかしながら、アルバム「Bad」を不朽としているのは、この新しい技術的革新に、有機的でソウルフルな音質を加えることができたその手法なのである。例えば「The Way You Make Me Feel」では、その容赦のない鉄を引きずるような動きのビートは、曲に魅力を加える自然で即興的な音質と並置されている。つまり、アドリブのボーカル、指を鳴らす、ブルースのハーモニー、パーカッション的な低音とあえぎ、叫び声である。レコーディング・エンジニアのブルース・スウェディンは、「全般的な音の絵」の一部としてジャクソンのボーカルのクセをどのようにして残したのか語った。「彼は曲を『消毒してきれい』にはしたくなかったんだ。直感的な効果が損なわれるからね」。

いろいろな意味で、「Bad」はジャクソンにとって、アーティストとしての成長であった。クインシー・ジョーンズは当初、すべての素材を書くと彼に挑んだが、ジャクソンはアルバムを構成する11曲のうちの9曲とその他採用されなかった多くの曲を書いてこれに答えた。「偉人に学べ、そして偉人になれ」と彼は自分に向けたメモに書いている。彼は音楽の「解剖学」について語り、パーツの解剖について語っている。彼はまた、ジョセフ・キャンベルの作品など、本を大量に読んでいた。彼は、象徴主義や神話、モチーフというものが、時間や理由を越えて何に響くのかということを理解したかったのだ。

彼がクインシー・ジョーンズやブルース・スウェディン(Aチーム)と作業をするためにデモ曲をウェストレイク・スタジオに持ち込む頃までには、曲のキーとなる要素のほとんどは準備ができていた。そうすると細部の問題ということになる。すなわち、小筆による色づけ、艶出し、増強、そしてジャクソンが残念がった削除である。アシスタント・エンジニアのラス・ラグスデールは、800以上のマルチトラックテープが作られたと見積もっている。積み重ねられたシンセサイザーでトラッキング・ルームはいっぱいとなった。トラッキング・ルームはジャクソンがしばしばシンセ・プログラマーのジョン・バーンズと仕事をしていた場所である。ボーカルはジャクソンが満足するまでレコーディングが繰り返された。ジャクソンとクインシー・ジョーンズ、ブルース・スウェディンはデッドラインの最後の1分まで決定についての微調整と議論を続けていた。

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ショートフィルムへも同じくらいの注意が向いていた。ビデオ「Bad」の後の彼のメモによると、ジャクソンは振付に完璧には満足していなかったことを示唆している。ムーヴは何も考えなくてもいいくらいに身についてなければならない。彼は純粋な感覚となるまで、ステップや音楽に溶け込まなければならなかったのである。多くの人々は、振付からライティング、衣装、ストーリーに至るまで、ジャクソンが作品の細部につぎ込んでいたものに気がついていない。ショートフィルム「Smooth Criminal」のリハーサルの間、ブリッジ部に望んでいる緊張と解放について、ジャクソンは監督のコリン・シルバース振付師のヴィンセント・パターソンに雄弁に説明している。「山のように積み上げて下ろすのはそういうわけなんだ」と彼は指示を出している。「頂上では(口で指示)高音のストリングス。僕たちが乗れてない感情に乗れるヤツだ(口で指示)。ホーンみたいな、わかるだろ?フィーリングに乗るためだよ・・・音楽で僕らの感じ方を表したいんだ・・・感情を支配しなければならない。ムードを。誰もが感じる感じ方を表現しようとしているんだ。これは反乱だ。分かるかい?僕らがずっと世界に対して言いたいと思っていたことを言ってやるんだ。パッション、怒り、炎さ!」

25年後、結果については自明である。「Bad」や「Smooth Criminal」のようなビデオは、メディアが提供すべき最高品質を保っている。「Man In the Mirror」や「The Way You Make Me Feel」、「Dirty Diana」、「Another Part of Me」といった曲はジャクソンの膨大なカタログの中でも不可欠なものだ。9月18日にリリースされる3枚組Bad25に含まれているリマスターされたアルバムを聴くことは、唯一無二の人格と喜びを思い出させてくれる。パワフルなベースラインを聴いてみてほしい。何層にも重ねられたリズム、ボーカル実験、映画的なストーリー、象徴的な叫び声と作り出された言葉、純然たる活力そして喜び。これは最もダイナミックなポップであり、1980年代のベストアルバムの一つとして、プリンスのベスト作品と並び立つものである。

「Bad」は、大胆で創造性に富み自信に満ちたこのアーティストの、ピークにおける肖像である。そして今、「全世界が答えなければならない」。
(終わり)
原文:http://www.theatlantic.com/entertainment/archive/2012/09/how-michael-jackson-made-bad/262162/1/
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