ジョー・ボーゲル:マイケル・ジャクソンはいかにして「Bad」を作ったか(その2)

そして、「Jacko」という言葉は無から生まれたわけではない。そして愛称として使われたわけではないことは間違いない。何年にもわたって、この言葉はタブロイドと主流メディアによって軽蔑を伴った使い方をされた。その意図については疑問の余地はない。その人種差別的ルーツや意味についての知識を持たない人々さえも、明らかにターゲットを「異種化」し、屈辱を与え、貶めるためこの言葉を使った。ラルフ・エリソンの「見えない人間」の中の「Battle Royal」のシーンのように、人間・アーティスト、マイケル・ジャクソンを「Jacko」という強欲な楽しみのための卑屈な見世物へと貶めるプロセスなのである(白人系メディアでこの言葉が広く使われた一方で、黒人ジャーナリストが使ったとしてもそれはごく稀であったことは指摘すべき重要な点である)。

これは、ジャクソンの周囲に渦巻き始めた脅迫的な暗流であり、彼と一般大衆(特に米国の)の心に影響を及ぼしていた。支配と解放あるいは逃避の間の緊張感が、アルバム「Bad」とそのミュージック・ビデオに浸透している。

例えば「Leave Me Alone」のショートフィルムで、ジャクソンは具体化されたエンタテイナーとしての彼のカーニバル風の生活の現実を切実に伝えている。ジョナサン・スウィフトの「ガリバー旅行記」に部分的にヒントを得て、実際よりも大きなジャクソンがアミューズメント・パークのアトラクションで文字通り囚われの身にされている。スーツを着た犬たちが、彼を固定するために地面で杭を叩いている。ビデオの後半では彼は新聞やドル札の中から歌い、そして再現されたタブロイド・ストーリーの中にいる。それは、ポストモダン時代の罠、搾取、二重意識についての自分を意識した(そして社会的意識が高い)分析である。

ジャクソンの「雲隠れ」は、彼の生活の現実にも一部にその原因がある。彼はもはや世界中のどこでも、もみくちゃにされ、詮索され、分析されずには自由に歩くことができなかった。

彼はアートに引きこもった。1985年から1987年まで、世間の目を逃れ、彼は曲作りとレコーディングを大量に行った。BADセッションは、完成度にはバラつきがあるものの最終的に60曲以上もの曲を生み出した。一時、彼は3枚組でこれをリリースしようと考えていた。

ジャクソンはヘイヴェンハーストの自宅スタジオを「Laboratory(実験室)」と呼んでいた。ここは、マット・フォージャーやジョン・バーンズ、クリス・カレル、ビル・ボットレルといったミュージシャンやエンジニアの小さなグループ(しばしば「Bチーム」と言われる)とともにマジックが生み出された場所だ。ジャクソンが「1億枚」と浴室の鏡に書いたということが今では語り草になっている。彼が期待したBADの売り上げ枚数である。その数字は、その時点での「Thriller」の売り上げ数の2倍である。それがジャクソンの野心の大きさであった。

しかし、彼がもくろんでいたのはただの商業的成功ではなかった。ジャクソンは革新がしたかったのだ。彼はコラボレーターたちに、聴いたこともない音が欲しいと言っていた。当時、Fairlight CMI やSynclavier PSMTというエキサイティングな新型シンセサイザーが登場していた。「あれは本当に、新たな創造領域を開拓したよ」とレコーディング・エンジニアのマット・フォージャーは振り返る。「Fairlightにはライトペンがあって、スクリーンに波形を描いて、その形を修正できたんだ。Synclavierはその拡張版さ。結局2つのシンセサイザーの要素を組み合わせてユニークな特性を創り出すということに落ち着くことがしょっちゅうだったよ。それはSynclavierの中でできるんだけど、それぞれの音の特性の立ち上がりを調整するためにきめ細かく増やす機能もあるんだ。そうすることによってサウンドを調整することができる。僕たちはサンプリングと新しいサウンド特性の創出をたくさんやった。そして、FM音源(周波数変調音源)で混ぜ合わされたサンプル・サウンドをたくさん作って組み合わせたんだ」
その3に続く)
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