マイケル・ジャクソンを読み直す(その12)

「Thriller」の10年後の1993年、ジャクソンは少年を性的に虐待したとして告発された。そしてもし私たちが小児愛者であるというその訴えを聞いて、彼を見て密かな恐怖を感じていたということであれば、彼はあの憎悪を顔の上に具体化させるのだ。これが、私たち国民が彼の「破壊された」顔のイメージに魅了される理由であり、私たちの中に深く共鳴する理由なのだ。それ以前の「Ben」や「Thriller」のように、それは私たちがすでに彼について感じている水面下の感情と正確に合致し、それらの感情を正確に表現するために必要なものをシンボル的に見せてくれるのである。そしてそれらの感情は私たちに反映され、可視化されるのである。

しかしそれは一つの錯覚に過ぎない。彼はまったく変わっていないのだ。それは単に私たちの彼に対する認知や解釈にすぎない。それは私たちが彼に投影しているものにすぎず、それが変わったのであって、彼が変わったのではない。彼は疑惑以前の彼と同じなのだ・・・「Stranger In Moscow」で、「主よ、僕は変わっていません(訳注:原文は"Lord, I'm the same")」と歌っているように・・・そして私たちがそれを見る目を持っていれば、彼は依然として美しいのだ(この錯覚が、それぞれが彼をどう感じたかを再現しているように見えるのは興味深いことだ。たとえば彼は無実だと考えている私たちは、彼の顔について、多少違うが醜くくはないと見ようとする傾向があった。彼が有罪だと考える者たちは彼の顔を「醜い」と見る傾向があった。そして少数の興奮しやすい者たちは彼の顔を本当に恐ろしいものとして見たようである)。だから「Ben」や「Thriller」を使って彼は、彼について抱く矛盾した感情を全て表現するのに必要なシンボル的なものを私たちに示したのだ。そして私たちをそのような感覚に向き合わせ、その感覚を通じて仕事をし始めたのである。

ジャクソンは、彼について私たちが抱く最も深く最も抑制した感情に繰り返し挑戦する。そして彼は、潜在意識の言葉で直接私たちに語りかけることでそれを行う。もし80年代の白人アメリカ人が何らかの形でフロイトの患者で、キュートでかわいいお隣の黒人の男の子がとても魅力的な男性に成長し、夜になると狼男になるという夢を見つづけているとフロイトに言ったら、彼はそのことをたちどころに解釈する方法を知っていただろう。そして10年後、そのお隣の若い男性が少年を虐待したと訴えられ、彼が自分の鼻を切り落としたという疑惑に震え上がっているという夢を見つづけているとフロイトに言ったとしたら、彼はやはり、それをどのように解釈するかわかっていただろう。

ジャクソンが象徴的な意味において鼻を切り落としたという考え方は、意識のレベルにおいては意味を成さなかったかもしれないが、潜在意識のレベルでは完全に説得力のあるものだ・・・これが、このような信じがたい話を信じる下地が多くの人になぜできていたのか、ということの理由かもしれない・・・そしてたとえ意識の上ではそれを理解していなくても、私たちはそれに対し感情的にも心理的にも複雑に反応する。実際、ジャクソンがネズミと仲良くなったり狼男になったり鼻を切り落とすというような話は、私たちがそれを理解しない場合には・・・私たちが単にそれらを受け入れてしまう場合には、あるいは存分にそれを楽しんでしまう場合には、そして分析、抵抗あるいはどういう反応をするかを自分でコントロールしようとしなければ、最も効果的なのかもしれない。

私はジャクソンが「Is It Scary」の中で「異常な変人」と呼んでいるものについて考える。そして私たちがそういうものからどのようにして、あれほど激しく逃げ出したかについて考える。そして私は、あれは私たちに何を語りかけているのだろう、彼についてのことではなく私たちのことについてなのではないか、と思っている。彼の肌の色の変化に対する反応が私たちの人種についての水面下の感覚を暴露するのと同じように、彼の「異常な変人」に対する私たちの反応は、他とは違うということについて私たちがいかに反応しやすいか、ということをより一般化して暴露しているのかもしれない。そしてジャクソンが「Ghosts」で見せてくれたように、私たちを区分している違いというものに対して、理解の仕方、反応の仕方を変える力をアートは持っているのかもしれない。
その13に続く)
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