マイケル・ジャクソンを読み直す(その11)

いろいろな意味で、最も長く続くジャクソンのプロジェクトとは、彼に対する私たちの反応への、文化的アイコンとしての、黒人アメリカ人としての、そして単に同じ人間としての挑戦そして変革である、キャリアを通じて、彼は一般大衆と格闘していた。時に彼をアイドル化し、時にあざ笑い、しかしどちらにしても、一般大衆は意地でも彼を人間として見るつもりはない様であった。

「Breaking News」で、リサ・マリー・プレスリーとの結婚は偽装であるというしつこい噂について歌っているように、「僕が恋をしたらなぜおかしいのか?/みんなが考えているこのブギーマン(英語圏で子供が怖がる怪物)とは誰なのか?」ということだ。「Monster」では彼はメディアによる彼についての誇張した記述を茶化している(彼はモンスター/彼はケダモノ)。しかし、次にはその視点をひっくり返し、メディアが本当のモンスターだと示唆する(君たちはなぜ僕に付きまとっているのか?/なぜ僕を付け狙うのか?)。そして警告で締めくくるのだ、そのようなメディアの残虐行為は彼だけでなく私たちも傷つけるのだと(「彼は君をモンスターのように引きずりおろす/彼はモンスターのように君を落ち込ませる)。私たちが彼のことを、考え感じる人間であると見ることができないということとの戦いは、ジャクソンのアートの生涯にわたる焦点となった。そして彼がこの問題について、キャリアを通じてとても興味深い方法で答えていることがわかる。つまり、彼は私たちの彼に対する反応を根本的に組み立て直し、変革していく間に、一般大衆が彼に投影している感情を捉え、そしてその感情を私たちに映すという手法を使うのだ。

ジャクソンは、根深い人種差別がある国で育った、類まれなる才能を持った黒人の男の子として世界のステージに登場した。そしてもし彼を見に押し寄せた群衆が、怖いものへの魅力、ある種のエキゾチックなペットに・・・彼が母親に言った「檻の中の動物」に抱くような魅力・・・を彼に見ているのであれば、彼は、ネズミやボア・コンストリクター(大きな蛇)、子トラ、そしてチンパンジーのようなエキゾチックなペットを私たちに提示する。だが続いて彼は、それらの動物に対し私たちが同情するよう働きかけるのだ。1972年にリリースされ、ソロ・アーティストとして初の1位を獲得した「Ben」では、彼は私たちをネズミの内面に連れて行く。ネズミは彼自身で、おろかな先入観の犠牲者であり、こう歌っている。「ほとんどの人が君を遠ざける」、「君はどこからも求められていないと感じる」。そしてインタビューではリポーターたちに彼のヘビやチンバンジーと触れ合いさせ、動物たちを怖がらないで見るよう仕向けるのである。

1983年までに、ジャクソンはセクシーな若者へと成長した。そして米国の歴史では、セクシーな黒人男性のイメージというものは著しい脅威として見られてきた。あまりの脅威のために、そう遠くない過去の黒人男性たちは、それを理由にリンチを受けた。文化的なタブーは人種と言うものに対して、境界を曖昧にすることなく区別されたままでいることを要求した。異人種間の関係がこのような深い敵対感情を、これほど長い間呼び覚ますこととなったのはこのためである。さらに、1967年まで異人種間結婚禁止法が違憲と判断されなかったということを忘れてはならない。聡明で自信のある若い黒人男性らの中には拷問を受け殺された者もいる。白人女性が、魅力があるとして彼らを見るかもしれないということへの恐れからだ(これはもちろん当時言われていたことではない・・・黒人男性が白人女性に対して十分な敬意を表しなかった、と言われていた・・・しかし、どちらにしてもメッセージは同じだ。つまり、黒人男性は白人女性とかかわるべきではないということだ)。

それからそれほど時間が経っていたわけではないが、多くの白人女性がマイケル・ジャクソンを魅力的であるとして見ていた。彼はティーン・アイドルだった。われわれの最初の黒人ティーン・アイドルだった。これは未知の領域だった。そして多少の脅威どころではなかった。ジャッキー・ロビンソンは野球を平等にした。しかしマイケル・ジャクソンは性を平等にした。そしてこれがタブーの中で最も深く暗く、最も恐れられたものだ。

これに対するジャクソンの返答は鮮やかだった。彼は私たちに「Thriller」を贈ったのだ。言い換えれば、もし白人アメリカ人がセクシーな若い黒人男性を何らかの形で恐ろしいと見るように・・・脅威としてあるいは得体の知れないものとしてあるいは完全な人間以下のものとして・・・文化的に条件づけされてきたのならば、彼は私たちにモンスターを与えるのだ。狼人間、ゾンビだ。だから再度、ジャクソンは彼についての私たちの矛盾した感情を捉え、私たちに反映しているのである。しかし「Thriller」の中で、彼はいろいろと変身し、得体の知れないものの仲間になり、また元に戻る、ということを繰り返す。ジャクソンは「Thriller」の中で7度変身している・・・優しい青年、狼男、優しい青年、ゾンビ、優しい青年、ゾンビ、優しい青年、未知の生物を組み合わせたもの。彼がそれぞれモンスターへと変化する時、私たちは・・・一つの文化として、特にティーンエイジャーの白人少女として・・・それまで抱いていた矛盾した感情(彼に抱いていた感情、若い黒人男性を性的に魅力がありかつ性的なタブーとして見ることに対する感情、肉体的魅力かつ肉体的脅威として見ることに対する感情、そしてエキゾチックで興味をそそられ、ある種怖いものとして見ることに対する感情)を表に出すことができるのだ。そして彼が元に戻ると、彼が元の甘いマスクのマイケル・ジャクソン、私たちが少年のころから愛したマイケル・ジャクソンであることに安心するのである。
その12に続く)
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