マイケル・ジャクソンを読み直す(その10)

ジャクソンはもう一つのヒントを1995年リリースのアルバム「HIStory」のライナーノーツで提示している。あの「グロテスク」ダンス・リハーサルからそれほど前のことではない。スフィンクスとして、妙に美しいイメージでジャクソンは登場した。・・・面白いことに、まだ鼻があるスフィンクスだ:

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このようなヒントを通じて、ジャクソンは彼に対する一般の「グロテスク」というイメージを、私たちが思うよりも遥かにコントロールしているということを示唆している・・・つまり、特に整形手術スキャンダルは、ジャクソン自身の手によって持続されてきた錯覚であると。

重要な疑問は、なぜ彼がそれをしたかということである。「Is It Scary」でむしろ明確に私たちに語ったように、児童虐待者、「夜の変なやつ」という一般の認識への答えとして彼は故意に「目の前でグロテスク」になったのである。それは芸術的な答えだったのだ。その答えはいくつかの違った機能を果たした。複雑な機能もあるが、しかしそのうちの一つは、マスコミや一般大衆が、ジャクソンが子供を虐待していると糾弾しているさなか、彼らがいかに間違っているか、彼らの認識はいかに間違っているかを示すためのものだったのである。「Is It Scary」を書いている当時、ジャクソンは「Stranger in
Moscow」で自ら言ったように「脳のアルマゲドン」を経験していた。彼はメディアと一般大衆から判断を下されようとしていた。そしてその判断は次第に、彼は児童虐待者だということになっていった。児童虐待者ということは彼には耐え難いことであった。それは彼自身を、彼の作品を、そして彼の人生をウソということにしてしまった。しかし、彼の言動は何も変えなかった。

メディアや一般大衆がジャクソンを小児愛者だと一度考え始めると、彼らはその結論を支持する証拠に焦点を当て始め、彼の無実を支持する証拠は大抵無視された。だから1993年のスキャンダルを報道するコメンテーターらが概ね、ジャクソンが有罪であることを示す十分な証拠がないことを認めざるを得なかった一方で、メディアや一般大衆は、彼に不利な状況証拠を際限なく繰り返していた。それらの多くは伝聞やほのめかしであり、ジャクソンの疑いを晴らしたはずの証拠、少なくとも彼に対して起こされた裁判に重大な疑義を生じさせるような証拠については大抵の場合無視したのである。たとえば、その少年の訴えは、最初に歯科医院でなされた、それは麻酔をされている間、あるいは麻酔後すぐのことだった、ということは誰も認めなかった(認めるにしても認めないにしても、麻酔が効いている間に父親がその子に言ったことは誰も知らないし、少年の記憶に及ぼした影響についても誰も知らないのだ)。だが事件において、これは明白かつ重要な事実である。少年の証言に重大な疑いを投じ、そしてその証言はジャクソンに不利な唯一の物的証拠だからだ。そのほかは全て状況証拠なのである。

しかしながら、このスキャンダルについてのメディアの報道、そしてそれを受けての一般大衆の反応は、証拠の注意深い精査によっても変わることはなかった。その代わり、ほとんどヒステリーというべき生々しい感情、センセーショナリズムに向う強い偏見、この特異な事件についての知識の乏しい「専門家の証言」、誇張することをなんとも思わない、あるいは利益のために嘘さえつく「情報提供者」、そして誤った情報や誤解といったものに基づいて、タブロイドと芸能ニュースメディアによって、そして特に一般大衆の心の中でジャクソンは裁かれ有罪とされた。だからジャクソンは、一般大衆の認知がいかに間違いうるかを示すために一つの実験に乗り出した。それは、実際には過激なパフォーマンス・アートという行動だったが、コービー・ブライアントに言っていたように、「身を任せてもOK、したいことに心を奪われもOK」だったのである。この場合、とても重要なことを証明するためにアートの定義をあれほど過激に拡大するのは「OK」なのである。

しかしながら自分の主張を証明するためには違った錯覚を選ぶ事だってできたはずだ。彼は「目の前でグロテスク」にならなければならないわけではなかった。彼はある一つの理由のために、あの特異な錯覚を選択したのである。
その11に続く)
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